アトピー性皮膚炎患者におけるdupilumab治療に対するセルフ評価-1年目の結果より【RELIEVE-AD】
Strober B, et al. Treatment Outcomes Associated With Dupilumab Use in Patients With Atopic Dermatitis: 1-Year Results From the RELIEVE-AD Study.
JAMA Dermatol. 2021 Dec 21. [Epub ahead of
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目 的
実臨床下でdupilumab治療を開始したアトピー性皮膚炎患者を対象に、1年後の治療転帰を患者自身によるセルフ評価をもとに検証する。
対 象
対象者は、18歳以上、実臨床下でdupilumab治療を開始したアトピー性皮膚炎患者699例。
方 法
●試験デザイン
米国、前向き、縦断的コホート研究
●方 法
対象者はベースライン時、薬剤開始後1,2,3,6,9,12ヵ月後に、オンラインにて質問票に回答した。
●エンドポイント
・疾患コントロールの状況(Atopic Dermatitis Control Tool:ADCT[0~24点]、7点未満がコントロール良好)
・患者の治療満足度
・皮膚掻痒感(0~10点[10点がもっとも重篤])
・睡眠への影響
・再燃回数
・皮膚疾患がQOLに与える影響(Dermatology Life Quality Index:DLQI[0~30点])
・労働生産性及び活動障害に関する質問票(Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire specific for AD:WPAI-AD)
結 果
対象者の平均年齢は46.2歳、女性が61.7%、白人が73.7%を占めていた。
試験中止理由として多くみられたのは「有害事象」3.1%、「有効性の欠如」3.6%であった。全体の脱落率は10.9%であった。
●疾患コントロールの状況
適切にコントロールされている患者(ADCT7点未満)の割合は、ベースライン時5.3%から1ヵ月後に60.9%、12ヵ月後には77.4%に上った(いずれもP<0.001 vs ベースライン時)。
●患者の治療満足度
治療に満足している患者の割合は、ベースライン時の17.7%に対し、12ヵ月後には85.1%が満足していると回答していた。
●皮膚疾患がQOLに与える影響
ベースライン時にはDLQIの平均スコアは14.4点であったが、1ヵ月後に5.9点に下がり、12ヵ月後には3.5点にまで改善した。
●再燃率
過去4週間に再燃(フレア)を認めなかった患者の割合は、ベースライン時で3.0%に対し、12ヵ月後には43.5%まで増加した。
その他、睡眠障害、QOLへの影響、労働生産性及び活動障害についても、ベースライン時と比較して、1ヵ月後から改善がみられ、12ヵ月後も継続して改善が認められた。
結 論
実臨床下におけるdupilumabの治療転帰について、患者評価をもとに検証した本研究において、疾患コントロールへの迅速かつ継続的なdupilumabの効果が確認された。さらに、再燃回数、症状、QOL、生産性など複数の側面において、追跡期間(1年間)を通して継続的なベネフィットが認められた。