中等症~重症アトピー性皮膚炎に対する経口選択的JAK1阻害薬abrocitinibの有効性と安全性【JADE MONO-2】

Silverberg JI, et al. Efficacy and Safety of Abrocitinib in Patients With Moderate-to-Severe Atopic Dermatitis: A Randomized Clinical Trial.
JAMA Dermatol. 2020; 156: 863-873.

目 的

中等症~重症アトピー性皮膚炎の青年、成人患者のおいて、経口選択的JAK1阻害薬abrocitinib単独治療の有効性と安全性を検証する第III相試験

*abrocitinibは低分子JAK1阻害薬であり、アトピー性皮膚炎の成因に関与するインターロイキン(IL)-4、IL-13、および他のサイトカインのシグナルを抑制する。

【関連試験】
JADE MONO-1試験 JADE MONO-2試験 JADE TEEN試験 JADE COMPARE試験 JADE REGIMEN試験

対 象

対象者は、12歳以上、中等症~重症のアトピー性皮膚炎歴が1年以上の患者391例。
スクリーニング前の6ヵ月間に外用治療を4週間以上行ったが治療抵抗性を示したか、疾患コントロールに全身治療が必要と判断された患者を採用した。

方 法

●試験デザイン

国際(オーストラリア、ブルガリア、カナダ、中国、チェコ、ドイツ、ハンガリー、日本、韓国、ラトビア、ポーランド、英国、米国)、多施設共同、第III相、二重盲検、プラセボ対照、ランダム化比較試験

●方 法

対象者をabrocitinib 200mg群、abrocitinib 100mg群、あるいはプラセボ群のいずれかに2:2:1の割合で層別(IGAスコア 3/4、18歳未満/以上)ランダム割付け、それぞれの試験薬を1日1回、12週間服用した。

試験中、経口抗ヒスタミン薬および保湿剤の使用は許可されたが、外用薬(ステロイド、カルシニューリン阻害薬、抗菌薬、抗ヒスタミン薬)の使用、アトピー性皮膚炎への全身治療、およびレスキュー治療は認められていない。

●主要エンドポイント

(1)12週後のInvestigator’s Global Assessment(IGA)反応  
(IGAスコアで2段階以上の改善かつ「皮疹なし」あるいは「皮疹ほとんどなし」の判定)
(2)12週後のEczema Area and Severity Index(EASI)-75反応(EASIスコアにてベースラインから75%以上の改善)

結 果

2018年6月29日~2019年8月13日にスクリーニングが実施され、abrocitinib 100mg群に158例、abrocitinib 200mg群に155例、プラセボ群に78例がランダム割付された。うち、治療完遂したのは、それぞれ137例、141例、52例であった。
平均年齢は35.1歳、女性41.4%、白人が59.3%、アジア人が33.0%含まれていた。

●有効性

IGA反応率

12週後のIGA反応率は、abrocitinib 200mg群で38.1%(59/155例)、abrocitinib 100mg群で28.4%(44/155例)、プラセボ群で9.1%(7/77例)であった。

abrocitinib 200mg群とプラセボ群の群間差は28.7%(95%CI 18.6~38.8、P<0.001)、abrocitinib 100mg群とプラセボ群の群間差は19.3%(95%CI 9.6~29.0、P<0.001)であった。

・EASI-75反応率

12週後のEASI-75反応率は、abrocitinib 200mg群で61.0%(94/154例)、abrocitinib 100mg群で44.5%(69/155例)、プラセボ群で10.4%(8/77例)であった。

abrocitinib 200mg群とプラセボ群の群間差は50.5%(95%CI 40.0~60.9、P<0.001)、abrocitinib 100mg群とプラセボ群の群間差は33.9%(95%CI 23.3~44.4、P<0.001)であった。

●安全性

治療を有する有害事象の発生はabrocitinib 200mg群で65.8%、abrocitinib 100mg群で62.7%、プラセボ群で53.8%報告された。abrocitinib 200群でもっとも多く報告された治療を有する有害事象は、嘔気14.2%であった。abrocitinib 100mg群では鼻咽頭炎12.7%、プラセボ群ではアトピー性皮膚炎15.4%であった。

治療に関連している可能性がある重篤な有害事象はabrocitinib 100mg群で2例(ヘルパンギーナ1例、肺炎1例)、プラセボ群で2例(カポジ水痘疹1例、ヘルペス性湿疹1例)が報告された。

結 論

外用療法ではコントロールできない中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者において、経口選択的JAK1阻害薬abrocitinib 100mgおよび200mgの単独治療は有効であり、忍容性にも優れていた。