中等症~重症のアトピー性皮膚炎に対するupadacitinibとdupilumabの比較【HEADS UP】
Blauvelt A, et al. Efficacy and Safety of Upadacitinib vs Dupilumab in Adults With Moderate-to-Severe Atopic Dermatitis: A Randomized Clinical Trial.
JAMA Dermatol. 2021 Aug 4. [Epub ahead of
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目 的
アトピー性皮膚炎の患者において、経口選択的JAK1阻害薬upadacitinib*の有効性と安全性をdupilumab皮下投与と比較する。
*upadacitinibは低分子選択的JAK1阻害薬であり、JAK1に高い選択性を示すように設計されており、非選択的JAK阻害薬と比較して安全性と有効性の改善が期待されている。
対 象
対象者は、18~75歳、全身療法を要する中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者692例。
JAK阻害薬あるいはdupilumab使用歴のある患者は除外した。
方 法
●試験デザイン
国際(22ヵ国)、多施設共同(129)、第IIIb相、二重盲検、ダブルダミー、実薬対照、ランダム化比較試験
●方 法
対象者をupadacitinib群あるいはdupilumab群に1:1の割合でランダムに割付け、24週間治療を行った。
なお、 upadacitinib群では、upadacitinib 30mg徐放錠を1日1回経口投与し、dupilumab群では初回600mg皮下投与後、2週間隔で300mgを皮下投与した。
レスキュー治療として、治験医師の判断に基づく局所または全身の免疫調整療法の適宜使用が認められた。
●主要エンドポイント
16週後のEczema Area and Severity Index(EASI)-75反応(EASIスコアにてベースラインから75%以上の改善)
結 果
2019年2月21日~2020年12月9日に実施された。16週間の治療完遂率は95.3~96.6%。
平均年齢は36.6~36.9歳、男性52.6~56.4%。
●有効性
・EASI-75反応率(主要エンドポイント)
16週後のEASI-75反応率は、 upadacitinib 群で71.0%(247/348例)、dupilumab群で61.1%(210/344例)であった。
upadacitinib 群と dupilumab群 の群間差10.0% (95%CI 2.9~17.0、P<0.006)となり、upadacitinibの優越性が認められた。
・最悪の痒みの数値評価スケール(Worst Pruritus Numerical Rating Scale)
upadacitinib群ではdupilumab群と比較して、最悪の痒みの数値評価スケールのスコアの減少率が有意に大きかった(upadacitinib群とdupilumab群の差-17.84% [P<0.001])。
その他の副次エンドポイントに関しても、総じてupadacitinib群がdupilumab群を凌ぐ結果を示した。
●安全性
試験期間中、死亡は1例(upadacitinib群1例:インフルエンザに起因する気管支肺炎)。また、重篤な感染症、カポジ水痘様発疹、帯状疱疹、ならびに臨床検査値異常はupadacitinib群のほうが多くみられた。
試験治療下で起きた有害事象のうち、upadacitinib群でもっとも多く報告された有害事象はざ瘡で15.8%、dupilumab群でもっとも多く報告された有害事象は結膜炎8.4%、アトピー性皮膚炎8.4%であった。
結 論
中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者において、 経口選択的JAK1阻害薬 upadacitinibはdupilumab皮下投与と比較して、皮膚病変の改善、痒みの緩和において、より達成率が高く、効果発現もより速やかであった。