中等症~重症アトピー性皮膚炎に対する経口選択的JAK1阻害薬abrocitinibの維持、減量、中止【JADE REGIMEN】

Blauvelt A, et al. Abrocitinib induction, randomized withdrawal, and retreatment in patients with moderate-to-severe atopic dermatitis: Results from the JAK1 Atopic Dermatitis Efficacy and Safety (JADE) REGIMEN phase 3 trial.
J Am Acad Dermatol. 2022; 86: 104-112.

目 的

12歳以上の中等症~重症アトピー性皮膚炎で、abrocitinib 200mgによる12週間の治療に反応した患者において、維持治療(abrocitinib 200mg)、減量(abrocitinib 100mg)または中止(プラセボ)による反応性を比較検討する。

*abrocitinibは低分子JAK1阻害薬であり、アトピー性皮膚炎の成因に関与するインターロイキン(IL)-4、IL-13、および他のサイトカインのシグナルを抑制する。

【関連試験】
JADE MONO-1試験 JADE MONO-2試験 JADE TEEN試験 JADE COMPARE試験 JADE REGIMEN試験

対 象

【導入期間】

対象者は12歳以上、中等症~重症のアトピー性皮膚炎歴1年以上の患者1,235例。

【維持療法期間】

導入期間において良好な治療反応*を認めた798例。

*12週後のInvestigator’s Global Assessment(IGA)反応(「皮疹ほとんどなし」の判定かつIGAスコアで2段階以上の改善、あるいは「皮疹なし」の患者の割合)およびEczema Area and Severity Index(EASI)-75反応(EASIスコアにてベースラインから75%以上の改善)

方 法

●試験デザイン

国際(アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、チリ、中国、ドイツ、イスラエル、イアタリア、ラトビア、メキシコ、オランダ、ポーランド、ロマニア、ロシア、セルビア、スロバキア、スペイン、台湾、米国)、多施設共同、第III相、二重盲検、プラセボ対照、ランダム化比較試験

●方 法

【導入期間】
対象者にabrocitinib 200mg、1日1回、12週間投与をオープンラベルで行った。

【維持療法期間】
導入期間終了時において、治療反応*を認めた798例をabrocitinib 200mg群、abrocitinib 100mg群、あるいはプラセボ群のいずれかに1:1:1の割合で層別(18歳未満/以上)ランダム割付け、40週間それぞれの試験薬を単独療法として1日1回服用した。

【レスキュー治療期間】
維持療法期間中、再燃を認めた患者において、abrocitinib 200mg+外用療法によるレスキュー治療を12週間行った。

●主要エンドポイント

維持療法期間中の再燃(導入期間終了時に認められたEASI反応の50%以上喪失かつIGAスコア2以上)

結 果

2018年6月11日~2020年10月7日にスクリーニングが実施された。導入期間終了時、良好な治療反応が認められた798例を対象に、ランダム割付を実施し、abrocitinib 100mg群に265例、abrocitinib 200mg群に266例、プラセボ群に267例が割付けられた。

年齢中央値は29.0歳、男性55.0%、白人が77.8%、アジア人が15.5%含まれていた。

【維持療法期間】

再燃率

維持療法期間中の再燃率はabrocitinib 200mg群で16.5%(44/266例)、abrocitinib 100mg群で39.6%(105/265例)、プラセボ群で77.5%(7/77例)であった。

維持療法終了時の累積再燃率はそれぞれ18.9%、42.6%、80.9%であった。abrocitinib 200mg群 vs プラセボ群のハザード比は0.10(95%CI 0.070~0.136、P<0,0001)、abrocitinib 100mg群 vs プラセボ群のハザード比は0.27(95%CI 0.211~0.341、P<0.0001)、abrocitinib 200mg群 vs 100mg群のハザード比は0.36(95%CI 0.255~0.516、P<0.0001。)

【レスキュー治療期間】
維持療法期間中にレスキュー治療を必要とし、レスキュー治療期間へ組み入れられた患者は合計351例(abrocitinib 200mg群 43例、100mg群 104例、プラセボ群204例)。

12週間のレスキュー治療(abrocitinib 200mg+外用薬)の結果、EASI-75反応率はabrocitinib 200mg群で55.0%、100mg群で74.5%、プラセボ群で91.8%であった。

結 論

abrocitinib 200mgを12週間投与し、良好な治療反応が得られた患者において、その後abrocitinib 200mgを継続する、あるいは100mgに減量した場合、中止(プラセボ)に比べて再燃率が低くなった。