ステロイド外用薬であっても長期使用により骨粗鬆症リスクが高まるのか?
Egeberg A, et al. Association of Potent and Very Potent Topical Corticosteroids and the Risk of Osteoporosis and Major Osteoporotic Fractures.
JAMA Dermatol. 2021 [Online ahead of print.]
目 的
potentおよびvery potentの局所コルチコステロイドの累積曝露量と骨粗鬆症および主要骨粗鬆症骨折(MOF)の関係を検討する。
対 象
対象は、18歳以上、デンマーク在住の住民のうち、2003~2017年にpotentおよびvery potentランク*の局所コルチコステロイドをmometasone furoate(1mg/g)換算で200g以上処方された723,251例。
*欧州では 4 つのランク(very potent、potent、moderately、mild)に分けている。
方 法
●試験デザイン
The Danish Civil Registration Systemよりデータを抽出
●方 法
potentあるいはvery potentランクの累積調剤量(モメタゾンフランカルボン酸エステル0.1%に等価用量換算)を基に、対象者を以下のグループに群分けした。
グループ1:200~499g(対照群)
グループ2:500~999g
グループ3:1000~1,999g
グループ4:2,000~9,999g
グループ5:10,000g以上
●エンドポイント
主要エンドポイントは、骨粗鬆症またはMOFの診断
結 果
試験期間中、各グループに分類された患者の割合はグループ2(500~999g)が25.8%、グループ3(1000~1,999g)が15.4%、グループ4(2,000~9,999g)が13.0%、グループ5が1.9%(10,000g以上)。
●骨粗鬆症
・骨粗鬆症の発生率(/万人・年)は、グループ1で36.7、グループ2で43.1、グループ3で50.2、グループ4で55.2、グループ5で58.7であった。
・グループ1を対照とした際のハザード比は、グループ2で1.06 (1.02-1.09)、グループ3で1.09 (1.05-1.13)、グループ4で1.10 (1.06-1.14)、グループ5で1.24 (1.13-1.36)であった。
●MOF
・MOFの発生率(/万人・年)は、グループ1で81.6、グループ2で88.7、グループ3で100.6、グループ4で113.1、グループ5で122.3であった。
・グループ1を対照とした際のハザード比は、グループ2で1.01 (0.99-1.03)、グループ3で1.05 (1.02-1.08)、グループ4で1.10 (1.07-1.13)、グループ5で1.27 (1.19-1.35)であった。
・骨粗鬆症、MOFのいずれも、局所コルチコステロイド倍量ごとに発生リスクが3%増大した(ハザード比1.03)。
結 論
potentおよびvery potentランクの局所コルチコステロイドの長期・大量使用により、用量依存性の骨粗鬆症リスクの増大が認められた。このことから、皮膚の広範囲に強力な抗炎症治療薬の外用が必要な患者に対して、コルチコステロイド代替薬を考慮することも治療選択肢の一つになるだろう。
ただし、個々の患者が骨粗鬆症あるいは骨粗鬆症骨折を発生する絶対リスクは総じて低いものだった。