Covid-19に対し、既存の抗ウイルス薬4剤の転用は有用か?-WHOによるSolidarity試験(連帯試験)の中間報告

Pan H, et al. Repurposed Antiviral Drugs for Covid-19 – Interim WHO Solidarity Trial Results.
N Engl J Med. 2021; 384: 497-511.

目 的

新型コロナウィルス感染症(Covid-19)で入院中の患者において、既存の抗ウイルス薬4剤(remdesivir、hydroxychloroquine、lopinavir、インターフェロンβ1a)の転用による死亡率低下への影響を検討。

対 象

対象は、Covid-19で入院中の患者11,330例。

方 法

●試験デザイン
30ヵ国、多施設共同(405施設)、オープンラベル、ランダム化比較試験

●方 法

対象者をremdesivir群、hydroxychloroquine群、lopinavir群、interferon群、対照群にランダムに割付けた。

・remdesivir群(2750例):初日は200mg、翌日から9日間は100mg静注投与
・hydroxychloroquine群(954例):初回 4錠、6時間後 4錠、12時間後から10日間は隔日で2錠経口投与(hydroxychloroquine sulfate 200mg/錠)
・lopinavir(1,411例)群:1日2回、1回2錠を14日間経口投与(lopinavir 200mg/錠)
・interferon群(2,063例)*:初日、days3、days6にinterferon β-1aを44μg皮下投与(静注用interferonが入手可能な場合は、静注用10μgを6日間)
・対照群(4,088例):各地域における標準治療

*interferonとlopinavirの併用を含む

●エンドポイント
主要エンドポイントは、入院中の死亡率(各抗ウイルス薬と対照薬群との一対一の比較)

結 果

2020年3月22日~10月4日に登録された。
対象者のうち70歳未満が81%、男性が62%であった。25%が糖尿病を罹患し、8%がすでに人工呼吸を行っていた。

全体で1,253例の死亡が報告された。死亡までの日数は中央値8日(四分位範囲4~14日)。
Kaplan-Meierによる28日死亡率は11.8%であった。

●remdesivir群 vs対照群
死亡はremdesivir群で301/2,743例、対照群で303/2,708例で、率比は0.95であった(95%CI 0.81-1.11、P=0.50)。

●hydroxychloroquine群 vs対照群
死亡はhydroxychloroquine群で104/947例、対照群で84/906例で、率比は1.19であった(95%CI 0.89-1.59、P=0.23)。

●lopinavir群 vs対照群
死亡はlopinavir群で148/1,399例、対照群で146/1,372例で、率比は1.00であった(95%CI 0.79-1.25、P=0.97)。

●interferon群 vs対照群
死亡はinterferon群で243/2,050例、対照群で216/2,050例で、率比は1.16であった(95%CI 0.96-1.39、P=0.11)。

また、いずれのサブグループにおいても、今回検討した抗ウイルス薬によって死亡率の明確な低下はみられなかった。

結 論

今回検討された抗ウイルス薬4剤(remdesivir、hydroxychloroquine、lopinavir、インターフェロンβ1a)に関して、COVID-19で入院中の患者に対し、死亡率を低下さえる作用は認められなかった。