顔面ざ瘡に対してclascoterone1%クリームは有効か?-2つの第III相 、ランダム化比較試験より

Hebert A, et al. Efficacy and Safety of Topical Clascoterone Cream, 1%, for Treatment in Patients With Facial Acne: Two Phase 3 Randomized Clinical Trials.
JAMA Dermatol. 2020; 156: 621-630.

目 的

新規治療薬であるアルドステロン受容体遮断薬clascoterone* 1%クリームの安全性と有効性を2つのランダム化比較試験**により評価する

*アルドステロン受容体は脂腺、脂腺細胞、毛乳頭細胞に発現し、アンドロゲンが受容体に結合することで、脂腺生成が刺激される。女性のざ瘡に対しては、アンドロゲン遮断は有効な治療法の一つであり、norgestimate、norethindroneなどはFDAに認可されている。

**CB-03-01/25試験およびCB-03-01/26試験

対 象

対象者は、Investigator’s Global Assessment(IGA)スケールにて、グレード3~4(中等度から重度)の顔面ざ瘡を有する9歳以上の男女(非妊娠)1,440例(CB-03-01/25:708例、CB-03-01/26:732例)。

方 法

●試験デザイン

国際、多施設共同、第III相、二重盲検、vehicle対照、並行群間、ランダム化比較試験

CB-03-01/25:米国45施設、ウクライナ7施設、ジョージア3施設
CB-03-01/26:米国10施設、ブルガリア8施設、ルーマニア9施設、ポーランド12施設、セルビア3施設、ジョージア6施設

●方 法

対象者をclascoterone群(clascoterone 1%クリーム)あるいは対照群(vehicleクリーム)に1:1の割合でランダムに割付け、各試験薬を1日2回、顔全体に12週間、外用投与した。

●エンドポイント
主要エンドポイントは、12週後の治療成功率*、ベースラインから12週目までの非炎症性病変数の絶対変化、ベースラインから12週目までの炎症性病変数の絶対変化

*治療成功は、IGAスコアで2段階以上の改善かつ「皮疹なし」あるいは「皮疹ほとんどなし」の判定と定義

結 果

CB-03-01/25試験は、2016年1月~2018年4月、CB-03-01/26試験は、2015年11月~2018年2月に実施された。
対象者の平均年齢は18歳、女性が60.9~65.9%、白人が83.7~96.7%であった。

●有効性
・治療成功率

【CB-03-01/25試験】 12週後の治療成功率はclascoterone群で16.1%、対照群で7.0%で、多重代入法による補正後はそれぞれ18.4%、9.0%となり、clascoterone群で有意に治療成功率が高かった(オッズ比2.3、95%CI 1.4-3.8、P<0.001)。

【CB-03-01/26試験】 12週後の治療成功率はclascoterone群で18.7%、対照群で4.7%で、多重代入法による補正後はそれぞれ20.3%、6.5%となり、clascoterone群で有意に治療成功率が高かった(オッズ比3.7、95%CI 2.2~6.3、P<0.001)。

・非炎症性病変数の絶対変化

【CB-03-01/25試験】 ベースラインから12週目までの非炎症性病変数の絶対変化は、clascoterone群で-19.4、対照群で-13.0となり、clascoterone群で有意な病変の減少が認められた(群間差-6.4、95%CI -10.3~-2.6)。

【CB-03-01/26試験】 ベースラインから12週目までの非炎症性病変数の絶対変化は、clascoterone群で-19.4、対照群で-10.8となり、clascoterone群で有意な病変の減少が認められた(群間差-8.6、95%CI -12.3~-4.9)。

・炎症性病変数の絶対変化

【CB-03-01/25試験】 ベースラインから12週目までの炎症性病変数の絶対変化は、clascoterone群で-19.3、対照群で-15.5となり、clascoterone群で有意な病変の減少が認められた(群間差-3.8、95%CI -6.4~-1.3)。

【CB-03-01/26試験】 ベースラインから12週目までの炎症性病変数の絶対変化は、clascoterone群で-20.0、対照群で-12.6となり、clascoterone群で有意な病変の減少が認められた(群間差-7.4、95%CI -9.8~-5.1)。

●安全性

全般的にclascoteroneは忍容性に優れ、安全性プロファイルは対照群と類似していた。もっとも多く認められた「試験治療下での有害事象(TEAE)」は、副鼻腔炎、頭痛、中咽頭痛であった。
なお、clascoteroneの使用に関連したTAEAは4件(局所痛、中咽頭痛、局所乾燥、局所過敏症)発現したが、いずれも軽症であった。

結 論

アンドロゲン受容体遮断薬であるclascoterone 1%クリームは、9歳以上の顔面ざ瘡治療において、新しい機序で作用し、安全かつ有効であることが示された。